2013年10月27日

加藤実秋『インディゴの夜』

〈2013年読書感想23冊目〉
加藤実秋『インディゴの夜』


 渋谷のホストクラブ〈club indigo〉を舞台とした連作ミステリィ短篇集。創元推理文庫から集英社文庫に移籍復刊に際しての再読です。かなりの部分が加筆修正されているらしいのですけれど,元を読んだのがだいぶん以前のことなのではっきりとは分かりませんでした。創元推理文庫版も持っているので余裕があれば比較してみたいところであります。収録されているのは4篇ですが,いずれも〈club indigo〉の個性的な面々が活躍するのが実に楽しい。まあ,一番好きなのはやっぱり高原オーナーこと晶なのですけれどね。彼女の1980年代趣味は思わず共感してしまう部分が多々あります。晶を支えるマネージャーの憂夜さんの完璧ぶりも素敵。あまりの完璧ぶりにその存在が本シリーズの一番の謎でもあります。夜の渋谷を舞台とするホストクラブが主題という関係上,どうしても物語は裏社会が題材になりがちなのですが,そこに変な暗さはないのが読み易い。寧ろ,〈club indigo〉の特異なホストたちの明るさと軽さが楽しいです。主だったホストの犬マンやジョン太らの源氏名には馴染めないものがあるけれども。また,豆柴こと渋谷警察署の柴田刑事や或る意味で女傑のなぎさママなどの脇役陣の強烈な個性も素晴らしい。敵か味方か微妙な立ち位置の空也の存在も素敵です。必ずしも幸せな結末を迎えるお話ばかりではありませんが,それでも納得出来る終わり方が用意されているのは嬉しいです。再読でしたが問題なく楽しめることが出来ました。現在,連載中の最新作を心待ちにしたいと思います
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posted by 森山 樹 at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想