2013年11月24日

高田崇史『QED〜flumen〜ホームズの真実』

〈2013年読書感想26冊目〉
高田崇史『QED〜flumen〜ホームズの真実』


 〈QED〉シリーズの最新作。本篇は既に完結しているので番外篇という位置付けになります。尤も,本篇と番外篇の明確な差異は感じられないシリーズなので気にする必要は全くありません。本篇最終巻とされた『QED 伊勢の曙光』よりも時間軸は後の作品でありますから,タタルと奈々のその後が描かれるのが素直に嬉しい。また,シリーズ第3作目『QED ベイカー街の問題』で登場した緑川友紀子が再登場するのも懐かしい気分になります。今作で扱われるのは題名通り“シャーロック・ホームズ”ということになりますが,それと紫式部を絡めてくるのは如何にも独創的。タタルと奈々が巻き込まれる事件に魅力を感じないのはいつもの常でありますが,このシャーロック・ホームズと紫式部の意外な関連性には思わず感嘆させられました。勿論,牽強付会な点は否めませんが,それも含めてこういうものは楽しんだ方が勝ちだと思えるのですよね。また,『QED ベイカー街の問題』でタタルが披露した説を友紀子が鮮やかに覆すというのも〈QED〉を読み続けてきたものとしては楽しみました。基本的には如何にも〈QED〉という雰囲気の作品であります。物足りなさも感じますが,先ずは完結した作品に新たな物語が付加されたことを素直に喜びたいもの。タタルと奈々の関係があまり変わっていないように思えるのも微笑ましい。強烈な印象が残るわけではありませんが,〈QED〉の最新作として素直に楽しめる作品であるように思います。十分に満足です。

 余談。巻末には「QEDパーフェクトガイドブック」と掌編「二次会はカル・デ・サック」が収録されています。「QEDパーフェクトガイドブック」は〈QED〉シリーズの隠されたテーマなどが語られており,資料としても読み物としても楽しい。これだけでも〈QED〉シリーズ好きとしては充分な価値を見出すことが出来ます。個人的には更なる新作を期待したいところではありますが,どうなることかなあ。
タグ:高田崇史
posted by 森山 樹 at 21:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想