2014年02月23日

加藤実秋『Dカラーバケーション』

〈2013年読書感想35冊目〉
加藤実秋『Dカラーバケーション』


 〈インディゴの夜〉シリーズの第4作目。集英社文庫への移籍に際しての再読であります。基本的には過去三作を踏襲する内容であり,手堅さは感じるものの目新しさはありません。尤も,それが故にシリーズの愛読者であれば過不足なく楽しめる作品に仕上がっています。club indigoが風営法の改正による昼間の営業を開始したことに伴い,新たなホストも幾人か登場しました。彼らとジョン太や犬マンといった従来の売れっ子ホストとの間の間隙というか対立が今作の読みどころとなっています。とは言え,手塚を中心とした新たなホストたちも彼らなりの雰囲気を保ちながらclub indigoの色に染まっていくのが楽しい。4作品が収録されていますが,「サクラサンライズ」の余韻を残す終わり方はやはり好みであります。王道と言ってしまえば,それまでではありましょうけれども。また,豆柴こと渋谷警察署の柴田刑事の窮地をclub indigoの面々が救う「一剋」の展開も熱い。新登場の早乙女刑事も強烈な個性の持ち主で今後も活躍が見込まれそうです。憂夜さんの過去の一端が明らかになる表題作「Dカラーバケーション」は,しかしかえって憂夜さんの存在を謎めいたものにした気がします。いつか,彼の全てが明かされる日は来るのでしょうか。出番は少ないながらもエルドラドの空也も見せ場は十分。これでとりあえず既刊分の再読は終了しました。今後発表される〈インディゴの夜〉シリーズは全てが新作ということになります。先ずは初の長篇作品が用意されているとのこと。club indigoの新たな物語を大いに楽しみにしたいと思います。
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posted by 森山 樹 at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想