2014年03月10日

水野良『ロードス島戦記(1)灰色の魔女』

〈2013年読書感想37冊目〉
水野良『ロードス島戦記(1)灰色の魔女』


 記念すべき〈ロードス島戦記〉の第1巻。〈ロードス島伝説〉〈新ロードス島戦記〉と語られたロードス島の物語は全て此処から始まりました。自分にとっても大きな影響を受けた作品であります。今回は〈ロードス島戦記〉生誕25周年を記念しての新装版刊行ということで実に久しぶりの再読となりました。かなりの量を加筆修正してあるらしいのですが,流石に以前の版を持っていないので比較することは出来ません。以降のシリーズでの設定は特段新たに設けられていないように感じるのは残念であります。それにしても改めて読んでもこの面白さは格別。新米の冒険者が運命に導かれて巨大な敵と対峙するというファンタジィ小説の王道を味わうことが出来ます。そして何よりも善と悪の二元論ではなく,永遠の調和を目標とする灰色の魔女カーラの思想そのものが古びることなく燦然と輝きを放っているのが素晴らしい。〈新ロードス島戦記〉で語られる終末の巨人に繋がる物語が既にこの時点で始まっているのですよね。勿論,パーンやスレイン,ディードリットといった登場人物の魅力も素晴らしい。再読して驚いたのはファーンとベルドの英雄戦争やルノアナ湖畔での灰色の魔女カーラとの決戦が意外にあっさりしていたということ。それよりもフィアンナ王女救出の顛末の方が内容としては詳しくなっています。これはやはりTRPGのリプレイの小説化ということがあったからなのかもしれません。何はともあれ,本当に久しぶりの再読でありましたが,王道を行くが故の楽しさを存分に味わいました。続巻も引き続き読んでいこうと思います。
タグ:水野良
posted by 森山 樹 at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想