2007年02月25日

キルスティ・マキネン『カレワラ物語』

2007年21冊目
カレワラ物語―フィンランドの国民叙事詩
カレワラ物語―フィンランドの国民叙事詩
  • 発売元: 春風社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2005/05

 日本ではあまり知られてはいないけれども,フィンランドの民族叙事詩カレワラを易しく仕立て上げた物語。しかし,内容的にはあんまり子供向けではないような気もします。結構,直接的な表現が多くてどぎまぎすることもしばしばでした。
 カレワラは幼少の頃に読んだ馴染みの深い物語。ただ,日本語で読むことの出来る文献が少ないこともあって,通して読むのは十数年ぶりです。せめて岩波文庫版が復刊されればよいのだけれども。ただ,岩波文庫版は詩の形式で書かれてあって読む人を選ぶのは確かなので,本書のように平易な物語もありがたいです。
 物語の主人公となるのは主にヴァイナモイネンとイルマリネン,それにレミンカイネンの3人。特にこのレミンカイネンがお気に入り。戦士でありながら魔法使いでもある彼は,その短慮な性格もあって騒動屋を演じることになります。幾度も死にますが,その都度蘇ってくるしぶとい面もあり,また学習せずに同じことを繰り返す愚かな人間として描かれます。馬鹿な子ほど可愛いと言いますが,本当にそんな感じ。また,彼らカレワラの民と対立することになるポポヨラの女主人ロウヒも案外と好き。狡猾で獰猛な彼女ですが,その行動理念は娘や村人を守ること。魔法の道具サンポを巡っての戦いはこのカレワラの大きな主題となっています。カレワラの世界で特徴的なのは音楽の存在。ヴァイナモイネンの歌は船を生み出す魔法の力。また,大カマスの骨から作った楽器カンテレは,後々フィンランドの民族楽器へとなります。このあたり民族の傾向が見受けられて面白いです。
 日本ではあまり知られていないカレワラですが,その面白さは他の神話や伝承にまったくひけをとっていません。例えばケルト神話における井村君江や鶴岡真弓,北欧神話における山室静のような紹介者がいなかったことが悔やまれます。
 (余談)
 巻末の原著者後書きにカレワラは世界文学に消えることのない影響を与えているおそらく唯一のフィンランド文学とありますが,トーベ・ヤンソンのムーミンを忘れて欲しくないな。
posted by 森山 樹 at 19:36| Comment(4) | TrackBack(2) | 感想
この記事へのコメント
TBさせていただいちゃいました。
カレワラの記事が2つあるので、2つとも。す、すみません。
アレだったら削除して下さっても結構ですよー。
あ、でも神話関連でTBってなかなかないので
森山さんからもTB頂けると嬉しいです。(お手数で申し訳ないすが…)

レミンカイネンはほんと、馬鹿な子ほど可愛い、ですね。(笑)
私もロウヒは結構好き。↓こんな本もありましたよー。ご存知ですか?
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4751519948/
ちょっとそそられます。(笑)
Posted by 四季 at 2007年02月27日 05:54
>四季さん
TBどうもです。
こちらからも返させていただきました。

『北の魔女ロウヒ』は面白そうですね。
何だかずいぶんイメージが違っていますが(苦笑)。
アメリカの作家によるカレワラ作品というのも面白いです。
フィンランドにはこの手の作品が多いんでしょうね。
サンポという名の企業もあるみたいですから。
Posted by 樹 at 2007年02月27日 20:34
こんばんは。お邪魔します♪
「カレラワ」には、子供の頃から親しんでいらしたのですねぇ。
わたしは、神話・伝承方面に興味を持ち始めたのは大人になってからなので、
なんだかすごく勿体ないことをしたなぁ〜と思えてならない時があります。

図書館検索していたら、
小泉保さんの「カレワラ神話と日本神話」という著作に目が止まり、
ちょっと興味をそそられています。
全体に関連作品が少ないのが寂しいです・・

また、いろいろ参考にさせてください^^
Posted by susu at 2009年06月11日 22:13
>susuさん
こんにちは。
書き込みどうもです。

『カレワラ』は幼い日に愛読した文学全集に収録されていました。
フィンランドへの愛好もその頃から始まっています。

『カレワラ』はあまり日本では知られていないので文献少ないのが残念ですね。
音楽という媒体でなら『カレワラ』を扱った作品は幾つかあるのですが。
Posted by 森山 at 2009年06月12日 06:24
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