- フェイダーリンクの鯨―クレギオン〈2〉
- 発売元: 早川書房
- 価格: ¥ 672
- 発売日: 2004/01
少しづつ読書勘を取り戻しつつあります。先月はゲームに耽って読書が進まなかったので,今月こそは順調に行くといいなあ。
クレギオン第2作目。何度目かの再読になります。
なんといってもロイドとマージが格好いい! メイも愛らしくって可愛いんだけど,この二人の格好良さの前には霞んでしまいます。ロイドとジムのバーでの会話なんて本当にいいですね。夢を抱いて,それでも現実から目を逸らさずに進む男の格好良さが光ります。世慣れていながらも性根のところでは純真なところもある,こんな中年になりたいと思わせる作品ってのは,やはり好きなのです。それから,マージみたく“出来る”女性ってのも格好いいですよね。いろいろと抵抗はしてみるものの結局はロイドに押し切られてしまうあたりも可愛らしい。したたかで強く,でも優しく有能で,おまけに美人という得難い存在です。そして,今作でのゲストキャラクターとなるクリスとミュラーの二人も魅力的。特に些か影の薄かったミュラー査察官が見せる意外な活躍が印象的でした。こういった脇役を生き生きと描かせると本当に上手いです。
SFとしてもリングを持ったガス状惑星を舞台に,そこで暮らす人々の姿を描いた作品となっており興味を惹かれます。土星の環には宇宙に焦がれる人間に共通する憧れを呼び起こさせる何かがあるのでしょう。そして,そのガス状惑星のガスの中で暮らす巨大な宇宙鯨の存在も魅力的なのです。アルフェッカ号で偽装をした鯨のモデルとなったのが,実はマグロだったというのも微笑ましく効果的なエピソードになっています。
ただ,富士見ファンタジア文庫版を読んだ身としては,やはり弘司のイラストのほうが好みです。現在のイラストが悪いわけじゃないのですが,弘司のイラストのほうが想い出補正がかかっている分,魅力的に感じてしまうのです。どうしようもないこととはいえ,それだけが残念でした。
