2013年09月22日

高田崇史『軍神の血脈』

〈2013年読書感想15冊目〉
高田崇史 軍神の血脈


 楠正成の謎に迫る高田崇史の歴史ミステリィ小説。良い意味でも悪い意味でも高田崇史らしい展開が実に楽しい。相変わらず,歴史ミステリィ部分だけで物語は成立するように思えるのは最早芸風といってもいいのかな。物語の雰囲気作りという点において効果が全くないとは言えませんけれども。しかし,流石に時間制限がある中で悠長に歴史の謎を求めて行くというのは不自然に思えてしまうのが残念。その時間制限も効果的とはとても思えなかったのですね。歴史ミステリィが実に面白く興味深いだけに,それとは無関係の部分が気になってしまうというのはいささか勿体なく感じます。その歴史ミステリィとして今回の題材となるのは湊川の戦いで戦死したとされる楠正成と彼を討った大森盛長の真相。此方は若干牽強付会にも思えますが,それなりに論理的で説得力を感じます。史実を知る術は最早失われているわけですが,少なくとも思考実験としては楽しめました。楠正成に秘められた謎の解題は素晴らしく面白かったので大満足。後は事件が起きる蓋然性があればなあと思わざるを得ません。それが求められないのであれば,歴史ミステリィ部分だけに焦点を絞って欲しい。いずれにせよ,この種の歴史ミステリィ好きにはたまらない作品であります。個人的には〈QED〉に組み込んでも違和感がなかったように思えます。主人公を変えた意味をあまり感じませんでした。
タグ:高田崇史
posted by 森山 樹 at 09:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想
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