2013年12月08日

加藤実秋『ホワイトクロウ』

〈2013年読書感想28冊目〉
加藤実秋『ホワイトクロウ』


 復刊中の〈インディゴの夜〉シリーズの第3作目。此方も久しぶりの再読ということになります。但し,過去二作に比べると初読が割合に近いこともあって記憶に残っている箇所もそれなりにありました。尤も,だからといって面白さが損なわれることは全くないわけですけれども。今作ではclub indigoが改装工事に入るということで仮店舗での営業となりますが,そのあたりの事情を絡めたお話があるのが特徴的。いつもながらに晶や塩谷さん,憂夜さん,それに個性的なホストの面々の活躍が楽しいです。4篇が収録されていますが,「神山グラフィティ」と「シン・アイス」はジョン太と犬マンそれぞれの浪漫物語めいた展開が軸となるのが面白い。また,「ラスカル3」ではアレックスが大暴れ。ホストでありながら総合格闘技の選手でもある異色の存在としての立ち位置が素敵です。荒事には向かないホストの中では唯一その手のことで頼りになる人物でありましょう。表題作「ホワイトクロウ」はclub indigoの改装工事そのものが主題となる物語。失踪したデザイン事務所女性職員を巡る事件が描かれます。真相は容易に想像がつくものではありますけれどね。まあ,全篇を通じてミステリィ色はやや軽め。軽妙で痛快なホストの活躍を楽しむ作品であると言えましょう。一番の謎は完璧に過ぎる憂夜さんの正体かしら。此方の謎は一向に解決されないどころか深まる一方でありますけれども。相変わらず,無茶で無謀だけど情に厚い晶が素敵であります。彼女とclub indigoの面々の活躍を十分に楽しめる作品でありました。シリーズの読者としては素直に満足であります。
タグ:加藤実秋
posted by 森山 樹 at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想
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