2014年02月11日

ジェフ・ライス『事件記者コルチャック』

〈2013年読書感想34冊目〉
ジェフ・ライス『事件記者コルチャック』


 1970年代に熱狂的な人気を博したTVドラマシリーズの原作小説です。なお,TVドラマ版は名前は知っているものの実際に見たことはありません。『X-FILE』の嚆矢的な作品と聞くと多分自分好みの作品であったのだろうと思います。因みにジョニー・デップ主演による映画化が決定しているとのこと。此方は是非観賞したいと思います。本書には「ラスヴェガスの吸血鬼」と「シアトルの絞殺魔」の2篇が収録されていますが,どちらも怪奇趣味的な雰囲気が実に楽しい。但し,超自然的な内容だけに終始せず,結果的には権力や権威といったものが真相究明の最大の障壁となることを扱っていることで展開が平板になっていないのが面白い。主人公であるコルチャックは題名通りに事件記者ではありますが,その性格上周囲から孤立を余儀なくされてしまいます。結果的に事件解決に大きな役割を果たすのですが,それが故にかえって不遇を託つというのが皮肉であります。まあ,あまりコルチャック自身にも同情出来ない点があるのが何とも。事件の真相も然ることながら,それを隠蔽しようとする権力の意向こそが真の巨悪に描かれます。このあたりは為政者と報道の立場の違いでありましょうけれども。何はともあれ,不思議な事件の真相を超自然的な事象に求めていることは素直に好み。安直に人間の仕業にしなかったことが嬉しいです。ミステリィと言うよりもホラーとしての趣向が勝っているように感じますが,終始楽しく読めた作品でありました。
posted by 森山 樹 at 20:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想
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