2014年03月29日

五代ゆう『グイン・サーガ(131)パロの暗黒』

〈2013年読書感想39冊目〉
五代ゆう『グイン・サーガ(131)パロの暗黒』


 栗本薫を受け継ぎ,五代ゆうと宵野ゆめによって綴られることとなった〈グイン・サーガ〉の第131巻です。外伝ではなく正篇がこのような形で再開幕したというのは複雑な半面,やはり嬉しさもあります。栗本薫の手による〈グイン・サーガ〉の完結を見届けたかったという想いは今も残りますが,それが不可能となった今,別作者によって語り継がれるということを個人的には否定しません。勿論,作者が変わった以上,作風が変化するのも覚悟の上であります。その意味では今作は栗本薫とはやはり異なる雰囲気の〈グイン・サーガ〉でありました。但し,多少の違和感を覚えながらも,それでもなお面白く感じたのは素直に嬉しい。パロの女王リンダを手に入れるべく策動するイシュトヴァーンとそれを阻止するヴァレリウスとが中心に描かれますが,特に後半以降の急展開はすさまじい。リギアやマリウスといったパロの要人でさえも容赦なく奔流に巻き込まれていく姿があまりにも不穏すぎます。そして,最大の衝撃は彼の人物の再臨でありましょう。栗本薫が愛し,その生涯を丹念に見守った彼の人物を復活させるということは五代ゆうの覚悟を感じさせます。如何なる理由によっての復活かは今後描かれることになりましょうが,彼の動向が中原に新たな混迷を招くことは想像に難くありません。何よりも作者自らが完全な悪役としての再登場であると明言しているわけでありますから。個人的にはかなり期待感を煽られる〈グイン・サーガ〉の再開幕でありました。五代ゆうが描く物語は今後フロリーやヨナたちのいるヤガを冒険へと舞台を移行する模様。宵野ゆめの〈グイン・サーガ〉と如何に整合性を付けながら,物語を織り成すのか楽しみにしています。
posted by 森山 樹 at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想
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